は じ め に
 『健康』のための運動とはいっても、漠然とした『健康』というだけでは、必ずしも長期にわたって継続することは容易ではありません。「やせるため」とか「キレイに泳げるように」とか「腰痛の予防」といったハッキリとした目的も必要でしょう。そんな目的に適うように、各章毎にテーマ設定をしています。


第8章 カラダのメンテナンス(ケア)
8-1 マッサージ
 
  一口にマッサージといっても国や地域によって様々な技法があります。基本的には、揉んだり擦ったりすることによって、血液やリンパ液を滞りなく心臓に還流させます。これによって血流が改善されて筋肉内の乳酸などの疲労物質(老廃物)が分解除去されて瑞々しい弾力性のある筋肉が蘇ります。幾つかの技法を紹介します。

《軽擦法》 掌全体で筋肉というよりも皮膚全体を軽く擦る方法。マッサージの準備体操的な意味合いがあります。筋肉の流れに沿って心臓方向に向けてマッサージします。
《強擦法》 親指頭で筋肉を押しつぶすように強く○を描くように圧迫するのと掌全体で強く筋肉を擦るのを繰り返す技法です。擦るときには筋肉の流れに沿ってマッサージします[写 真1]。
《振せん法》 筋肉をつまんで震わせたり、あるいは手や足を持って細かく震わせたりします。
《叩打法》 肩叩きのように筋肉を拳でリズミカルに叩きます[写 真2]。
《揉捏法》 掌で筋肉を掴んで揉む方法です。肩を揉む動作に代表されます。筋繊維の流れに対して直角に行います[写 真3]。

 反射療法といわれる足裏マッサージがあります。足の裏には、カラダの他の部位 がすべて反映されているという理論に基づく技法で、揉んだり、擦ったり、棒で押したりします。カラダに何処か悪いところがあると、揉んだりしたときに強烈な痛みを感じることがあります。このような場合には、弱い力から始め徐々に力を強くしていきましょう。


8-2 ストレッチ1

 運動は、筋肉の収縮と伸展との繰り返しです。運動後の筋肉は縮んだ状態にあります。運動を繰り返し行うと筋肉は縮んだ状態で慢性化します。この状態をトーヌス(収縮残遺)といい、運動会の綱引きをやった後に手が開かない状態と同じです。トーヌスを放置するとカラダ(筋肉)の柔軟性が失われ、骨盤や背骨のゆがみを引き起こし、腰痛や四十肩などの原因ともなり得ます。どんなに高性能なスポーツカーでも、メンテナンスをしっかりとやらないと性能は充分に発揮できません。ヒトのカラダも同じです。  日々のカラダのメンテナンスとして最もポピュラーなものがストレッチです。ストレッチ(stretch)とは、「伸ばす」という意味で、目的によって様々な方法がありますが、一般 的な「静的ストレッチ」のルールを紹介します。

《伸ばす筋肉に意識を集中する》 筋肉と脳(中枢神経)とは知覚神経と運動神経とでつながっています。伸ばしている筋肉に意識を集中させることで筋肉と神経とのつながりが良くなります。

《息を吐きながら筋肉を伸ばす》 
呼吸を止めると筋肉は緊張し、血流は滞ります。息を吐きながら伸ばすことによって筋肉は弛緩し、血流が増加します。

《痛みを感じる手前で止める》《反動をつけない》 筋肉をリラックスさせる為のストレッチですから反動をつけたり、痛みを感じるまで伸ばしてはいけません。無理をすると伸展反射がおきて、逆に筋肉は緊張し毛細血管や筋の断裂の危険もあります。

《その状態で15〜30秒間続ける》
 30秒程度伸ばし続けると十分なストレッチ効果 がありますが、無理はしないようにしましょう[写真1]。



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