は じ め に
 『健康』のための運動とはいっても、漠然とした『健康』というだけでは、必ずしも長期にわたって継続することは容易ではありません。「やせるため」とか「キレイに泳げるように」とか「腰痛の予防」といったハッキリとした目的も必要でしょう。そんな目的に適うように、各章毎にテーマ設定をしています。


9-2 ウエイトトレーニングの目的

 ウエイトトレーニングは、様々なスポーツ・競技力の向上や傷害予防、健康管理、又は、傷害からのリハビリ等に用いられます。

老化の下支え
 高齢化社会到来に伴い、寝たきりにならない丈夫な体作りは必要不可欠です。
老化が進むと骨の強度がだんだんと弱くなり、骨粗鬆症に結びつくことがある。
筋肉に刺激を与える運動は、筋の付着部でもある骨を強化し骨代謝に必要なホルモンを活性化させることもあります。

痩身効果
 ヒトは、食物を摂取し、それをエネルギーとして体を動かしています。その基礎代謝量は、一般女性で6 0 0〜8 0 0 k c a l、一般男子で7 0 0〜9 0 0 k c a lといわれています。個人差はありますが代謝能力は、筋肉の量と密接に関わっています。

筋肉はいわば、脂肪を燃やすための工場の役割を担うわけで、ウエイトトレーニングで筋肉を刺激することで基礎代謝能力の向上に繋ります。

生活習慣病予防
 前述したように運動で体脂肪を燃やすことにより、生活習慣病の原因にもなっている肥満予防にもなり、動脈硬化、高血圧、高脂血症の予防にも繋がります。

不定愁訴症候群の予防や改善
 機械化が便利を常識化し、日常生活で筋力を使うことが少なくなりました。その代償として姿勢を崩すことが多く、そのことが腰痛や肩こりの原因にもなっています。ウエイトトレーニングは、抗重力筋を鍛えこれらの予防にも繋がります。

気の充実
 運動は、大脳を活性化させる1つの要因です。ウエイトトレーニングで筋活動を高めることにより大脳を刺激し「やる気」をおこします。



9-3 筋肉の収縮

 筋は、収縮(縮む)することで力が発揮できます。筋収縮には静的なものと、動的なものがあります。静的なものを等尺性収縮(アイソメトリック)といい、動的なものを等張性収縮(アイソトニック)といいます。収縮の仕方によってトレーニングの方法やタイプが異なってきます。

等尺性収縮(アイソメトリック)
 等尺性収縮とは、筋の長さを一定に保ったまま収縮することをいいます。両手を壁について力一杯壁を押し続けている状態などがこれに当たります。特別な器具や場所も必要でなく、簡単にできるという利点がありますが、持続的筋収縮のため全力で行うと筋中の血管が圧迫され血流が阻止され、心臓が圧迫され血圧が上昇しやすく充分な注意が必要です。この収縮のタイプを使ったトレーニングをアイソメトリックトレーニングといいます。

等張性収縮(アイソトニック)
 等張性収縮は、筋が長さを変えながら収縮することをいいます。動作時に関節の角度の変化によって発揮する力が変わってきます。バーべルやダンベルを押し上げたりする動作がこれに当たります。ベンチプレスの動作をする時、バーベルを胸の上から挙上します。その時、筋が短縮しながら力を発揮します。これを短縮性収縮(コンセントリック)といい、逆に挙上したバーベルを胸の上に下ろす動作は、筋が伸張しながら収縮していきますので伸張性収縮(エキセントリック)といいます。

等速性収縮(アイソキネティック)
 等速性収縮は、筋の収縮を一定のスピードで行うことです。等速性のトレーニングは、特殊なマシーンを使い動作中は常に一定の速さで動くようになっています。リハビリテーションで多く使うことがあります。
このように、トレーニングの方法によって筋に対する刺激も変化していきます。
目指す効果を得るためには、必要な知識を身につけ、正しいトレーニングを行なうことが大切です。


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